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元気なうちにやりたかったことをやろう!そんな思いで2011年3月より8月までマラウイで薬剤師として派遣されるマラリエ生活を綴った日記です。
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2024/05/18 (Sat)
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2011/10/31 (Mon)
依頼が上がってくると実際に現地に行って、現地までの道のりのポイント
(場所によっては建物が無くなっていて目印がない)、
実際にどこをどうするか、ボランティアさんの駐車スペース、
トイレの確認などを行う。
依頼とボランティアを合致させるマッチング班の仕事の1つだ。
 
初めての現場確認。他のスタッフと2人で行った。
仮設住宅へ行って引越しのお手伝いの下調べ。
6点セットと言われるテレビ、冷蔵庫、洗濯機などには
赤十字のシールが貼ってあった。
これらは引越しの際に持っていける。義援金の行方がわかりやすい。
仮設住宅に空きがありより広い仮設住宅への引越しだった。
 
次に伺ったのは津波の先端部のおうち。
依頼主は地区長さんでまずは他の家を、と譲っている間にはや半年。
2階の途中まで波を被っていて2階の床が押し上げられていて
部屋の1つはドアが開かない。2階は手付かず。
1階はとりあえず色んなものが収まっている状態。
お父さんは家を残したい。お母さんはなくしてもいいと思っている。
「お父さんはなんでも残しておくから・・・。」と。
1階の押入れには衣装ケースがありその中にはまだ水が浸っていた。
「あれはなんですか?」とダンボールをさすと
「お雛様だね。水に浸ってだめになってるだろうからなげていいです。
孫には違うのがあるしいらないんだよね。」とお母さん。
もう1人のスタッフが「あけてみましょう」と言い、はしごを使いお父さんが
取り開けてみる。私もまず無理だろなぁと思いながら手伝う。
ダンボールの中にはたくさんの箱。あけてみると濡れていない!
ダンボールの中で箱が浮いてその箱が水を吸収してくれていた。
一同「お~!」と驚く。すごく嬉しかった。
壇を作るステンレスはさびてしまっていたけど
「人形だけでも飾れるね。」とお母さんもにっこり。
 
庭に咲いているコスモスを仮設に持っていくと取っていくお母さん。
「手洗うくらいならこの井戸使っていいから」とお父さん。
庭にある井戸のふたを開けると透き通った水があった。
今回、井戸がとても役に立ったという。
遠野から陸前高田に来るまでの道でも、陸前高田でも時々目にする
水→といった看板。
断水になっていたとき自分のうちの井戸水をみんなに提供していた。
その名残り。井戸ってすごいなぁ。みんな優しいなぁ。
 
この日の最後は重機がくる場所まで要らないものを運んでほしい
という依頼者さんのお宅へ。
家は1階の床を作りなおしている最中。
少し離れたところにある物置としていた昔の小さな家に招かれお茶を頂く。
ぶどうを1房ずつ置かれる。「こんなに?」と言うと
「二人しかいないから食べきれないから食べて」と。
ぶどうを取り出した箱には値段が書いてある。
「こっちでは1房ずつで売ってないんですか?」と言うと
「売ってるよ。ただ、誰か来た時にってね。」と。優しい!!
私なら自分に必要な分しか買わないし、
そんなにしょっちゅう人が来ることもない。
なんだか素敵だな。
 
おばあちゃんは仮設に入っているけど日中はここにいるという。
「仮設は窓が少なくて見える風景が狭い。ここなら見渡せる。」
この場所は左右から波が来た土地を上から見えるような位置にある。
私たちがお部屋に入った縁側の前に椿の木がある。
床を張替え中のおうちに停めていた車が椿に引っかかっていたという。
椿がなければこのおうちも窓から車が入り大変なことになっていただろう。
そこに椿があった。
何年も前に植えた椿があったから今のおばあちゃんのくつろげる場所がある。
 
最近、すべてたまたまなのかなと思う。
繋がってた!!とかいうんじゃなくて、“たまたま”。
昔は全てに対して理由を求めていた。「なんで?なんで?」が口癖だった。
なんで生まれてきたんだろう?なんで死んでしまうのだろう?
なんでこの人に出会ったんだろう?なんでこの道を選んだんだろう?
そうやって後悔することもあったし、幸せに思うこともあった。
でも、そのときそう思って選んで、そのときたまたま会ったってことよね。
今までの私のたまたまが陸前高田にたまたまいることになったんだよね。
たまたま生まれて、いつか死んでしまうんだろうな。
怖い。けど、しょうがない。
環境も歩んだ道も今の現状も自分の気持ちも人の気持ちも
自分ではどうにもならないことがたくさんあるからしょうがないよな。
だからいいんじゃないかな、今で。そう思う。
 
この日もたまたま出会った人との素敵な1日だった。
素敵なたまたまは素敵だな。
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